硬度とは？宝石における硬度の役割と測定法

硬度とは？

硬度とは、物質の表面がどれだけの外的な力に耐えられるかを示す指標で、宝石の耐久性を評価する際に重要な要素です。硬度の測定方法には大きく分けて2つの種類があります。

1. 引っ掻き硬さ：物体表面が擦られたときに傷つく難しさを測定します。
2. 押し込み硬さ：外部から圧力をかけたときに物体がへこむ難しさを測定します。

これらの測定法に基づいて、宝石や金属の硬さを数値化する手法が複数存在します。

モース硬度

モース硬度は、宝石や鉱物の引っ掻き硬さを示す指標で、1から10までの相対的なスケールで評価されます。硬度10に位置するダイヤモンドは、他のすべての鉱物を傷つけることができ、モース硬度の基準として用いられています。

たとえば、硬度9のサファイア（コランダム）は、硬度10のダイヤモンドで擦ると傷がつきますが、逆は起こりません。これにより、鉱物同士の硬さの相対的な差を理解することが可能です。

ビッカース硬度

ビッカース硬度は押し込み硬さを示し、ダイヤモンド製の正四角錐を物体表面に押し付けて測定します。この方法は、モース硬度よりも詳細に硬さを数値化できるため、宝石だけでなく金属の硬さを測定する際にも使用されます。

たとえば、純金のビッカース硬度は80Hv程度で、プラチナの100Hv〜110Hvと比較して柔らかいことがわかります。

ヌープ硬度

ヌープ硬度は、ビッカース硬度と同様に押し込み硬さを測定する指標ですが、細長い菱形のダイヤモンド製工具を使用するため、より脆い物質や薄い層を評価するのに適しています。宝石の精密な硬さ評価ではヌープ硬度が一般的です。

ダイヤモンドの硬さを他の宝石と比較する

以下は、代表的な鉱物のモース硬度とヌープ硬度の比較表です。

ダイヤモンドはなぜ硬いのに脆いのか？

ダイヤモンドは非常に硬い物質である一方で、割れやすいという特性を持っています。この矛盾した特性の理由を探ります。

硬度が高い＝割れない、ではない

硬度は表面の耐久性を示す指標であり、内部の衝撃への耐性は「靭性（じんせい）」によって評価されます。靭性とは、物質が割れたり砕けたりすることへの抵抗力を示します。

たとえば、銅貨はガラスよりもモース硬度が低いですが、靭性が高いため落としても割れません。一方、ガラスは硬度が高いものの靭性が低く、落下の衝撃で容易に割れてしまいます。ダイヤモンドも同様に、硬度は非常に高いものの、靭性には限界があります。

劈開（へきかい）性の影響

ダイヤモンドは内部構造が規則正しい結晶であるため、特定の方向に沿って割れやすい「劈開性」という性質を持ちます。この特性により、特定の衝撃方向では簡単に割れてしまう場合があります。

衝撃に弱い条件

以下の条件では、ダイヤモンドが破損するリスクが高まります。

1. 瞬間的な強い衝撃：小さな欠けやクラックが拡大し、破損する可能性があります。
2. 特定方向からの力：ダイヤモンドのカット職人は、この性質を利用して劈開面に沿って加工しますが、偶然の衝撃でも割れるリスクがあります。

砕けたり傷がついたダイヤモンドの価値

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