世界で最も金を保有している国はどこ? その理由と背景を徹底解説!

産出量・埋蔵量・保有量の違いとは?
金に関する情報を正しく理解するためには、「産出量」「埋蔵量」「保有量」という3つの異なる概念を明確に区別することが重要です。これらはそれぞれが異なる観点から金に関するデータを示しており、混同すると誤ったイメージを持ってしまいがちです。
まず「産出量」とは、その国が1年間に実際に採掘して市場に供給する金の量を指します。これはその年ごとの経済活動や鉱山の稼働状況によって変動します。中国やロシア、オーストラリアといった国々が、ここ数年で世界トップクラスの産出国として名を連ねているのは、技術力と設備投資、資源管理に積極的であるからです。
次に「埋蔵量」とは、地中にまだ存在しており、将来的に採掘される可能性がある金の量を意味します。つまり、現時点では掘り出されていない「見込み資源」であり、技術革新や金価格の上昇によって、採算の合わなかった鉱山が再評価されることもあります。この埋蔵量は、その国の将来的な金の供給能力を示す指標ともいえます。
そして「保有量」とは、政府や中央銀行などがすでに保有している金の総量のことです。これは過去の取引や政策判断により蓄積されてきたもので、国家の信用や経済の安定性を裏付ける「準備資産」として活用されます。保有量は、単にその国で採れた金の量とは無関係であり、たとえ金の産出量が少ない国であっても、外国からの購入や長年の蓄積によって膨大な保有量を持つことができます。
たとえば、中国は世界一の産出国でありながら、中央銀行が保有する金の量ではアメリカに遠く及びません。一方、アメリカは自国の採掘量がそれほど多くないにもかかわらず、圧倒的な保有量を誇ります。このことからも、「産出量=保有量」ではないことが明らかです。
この3つの指標をしっかりと理解することで、国ごとの金戦略や国際金融における立ち位置がよりクリアになります。金は単なる資源ではなく、国家の信頼を担う資産なのです。
なぜ各国は大量の金を保有するのか?
金が世界中の中央銀行で保有される理由は、大きく分けて以下の3つに分類されますが、それぞれの背景には、より深い経済的・政治的な意味合いが存在します。
安定した価値を持つ資産だから
金は他の資産と異なり、物理的に不変であり、腐食もせず、化学変化によって劣化することもありません。そのため、どんな時代であっても価値が「ゼロになる」ことはなく、いわば「永遠の通貨」として認識されています。紙幣や株式、不動産などの資産は、経済情勢によってその価値が大きく変動しますが、金はその影響を受けにくく、特に金融不安・通貨危機・戦争といった非常時において「逃避先資産(セーフ・ヘイブン)」として高く評価されます。
たとえば、アルゼンチンやトルコのように通貨価値が急落する国家では、自国通貨への信頼が薄れ、人々が金に価値を移す傾向が強く見られます。こうした国々の政府にとっても、金は「最終的な信用の支え」であり、金保有が国家の信頼を裏付けるものとなるのです。
歴史的に通貨の基盤だったから
20世紀半ばまで世界で広く使われていた「金本位制」では、各国の通貨は保有する金の量によって価値が保証されていました。つまり、紙幣は金と交換できる「引換券」のようなものであり、国家が無制限に紙幣を発行することを抑制していたのです。
金本位制は1971年のニクソン・ショックによって事実上終了しましたが、その思想は現在でも深く根付いています。多くの経済専門家や中央銀行は、「紙幣の価値は政府への信用によって成り立つものであり、金はその信用を補完する最後の担保である」と考えており、特に経済が不安定な時期には金準備を強化する動きが活発になります。
IMFの「準備資産」の義務があるから
IMF(国際通貨基金)は、加盟国に対して外貨準備だけでなく、「金」を一定量保有することを推奨・義務付けています。これは、加盟国が通貨危機や対外債務の支払い不能に陥った際、金を担保にして支援を受けられるようにするためです。
また、金は為替介入などの金融政策においても重要な役割を果たします。中央銀行が自国通貨を支えるために市場介入を行う場合、金を裏付け資産とすることで市場に対して「この国の財政は安定している」という強いメッセージを発信できるのです。さらに、IMF自体も世界第3位の金保有者であり、金の持つ「超国家的価値」が改めて浮き彫りになります。
このように、金の保有は単なる「資産運用」ではなく、国家の信用、経済的自立、安全保障に直結する重要な戦略的行為であると言えます。今後、地政学リスクや金融不安が高まる中で、各国が金準備を拡大する動きはさらに加速していくと見られています。
世界の金保有量ランキング(2023年データ)
では実際に、現在どの国がどれだけの金を保有しているのでしょうか? 以下は2023年時点での世界の金保有量ランキングの一部を示したものです。
ランク | 国名・機関 | 金の保有量(トン) |
1位 | 🇺🇸 アメリカ | 8,134.5 トン |
2位 | 🇩🇪 ドイツ | 3,354.9 トン |
3位 | IMF(国際通貨基金) | 2,814.0 トン |
4位 | 🇮🇹 イタリア | 2,451.8 トン |
5位 | 🇫🇷 フランス | 2,436.8 トン |
6位〜8位 | 🇷🇺 ロシア、🇨🇳 中国、🇨🇭 スイス など | |
9位 | 🇯🇵 日本 | 846.0 トン |
このデータからも明らかなように、アメリカは8,134.5トンという圧倒的な保有量で世界1位を維持しています。この量は、2位のドイツ(3,354.9トン)の約2.5倍に相当し、世界全体の中央銀行が保有する金の中でも極めて大きな割合を占めています。
ドイツはかつてナチス政権時代の経験から金に対する信頼が強く、現在でも金準備の一部をロンドンやニューヨークから国内に移送する「帰還プロジェクト」を完了しています。イタリアやフランスも、経済力に比して多くの金を保有している点が注目されます。これは、通貨ユーロが統一されている中で独自の信用を保つための手段としても機能していると考えられています。
また、日本は世界第3位の経済規模を誇りながら、金の保有量は**9位(846.0トン)**にとどまっています。これは、経済的な信用が非常に高く、通貨(円)の信頼性が高いため、金に依存する必要が比較的少ないことが理由とされています。
興味深いのは、IMF(国際通貨基金)が3位にランクインしている点です。これは、加盟国からの出資によって成り立つ超国家的な組織であり、金融危機時の支援のために巨額の金を備蓄していることを示しています。まさに「世界経済のセーフティネット」として機能している証です。
このランキングは、各国の経済的な安定性・外交戦略・金融政策のあり方を映し出す鏡とも言えます。金の保有量が多い国ほど、通貨の信用、国際的な発言力、そして非常時の備えにおいて大きな優位性を持つことがわかります。
なぜアメリカはこれほど多くの金を保有しているのか?
アメリカが世界最大の金保有国である背景には、単なる経済力の大きさだけではなく、歴史的・制度的な積み重ねがあります。具体的には、以下の2つの要因が大きな影響を与えています。
ブレトンウッズ体制の影響
第二次世界大戦後、世界経済の秩序を再構築するために開かれた「ブレトンウッズ会議」において、アメリカは中心的な役割を果たし、ドルを国際的な基軸通貨とする体制を主導しました。この**「ブレトンウッズ体制」**では、各国の通貨がドルに固定され、ドルは金と1オンス=35ドルで交換される仕組みが採用されました。つまり、アメリカはドルを世界中に発行する代わりに、それに見合うだけの金を保有する必要があったのです。
その結果、戦後の世界で金が大量にアメリカに集まり、1950年代〜60年代には実に1万トンを超える金準備を抱えるに至りました。1971年の「ニクソン・ショック」により金とドルの交換は停止され、金本位制は終焉を迎えましたが、それまでに蓄積された金準備は現在もアメリカの経済的基盤として機能しています。
ドルと金の戦略的バランス
さらに、金とアメリカドルには逆相関の関係があります。ドルの価値が下がるとき(ドル安)、金の価値が相対的に上がるため、金を大量に保有しておけば、自国通貨の信用低下に備えることができます。これはアメリカにとって非常に重要な金融戦略であり、**「ドルの力が揺らいだときの保険」**としての役割を果たしているのです。
アメリカの金融政策は、世界経済全体に影響を与えるため、金を持つことによって、自国経済だけでなく国際金融市場においても信頼性と影響力を維持する力学を持っています。FRB(連邦準備制度理事会)や財務省は、こうした金準備を通じて通貨の信頼を裏打ちし、世界の市場に対してアメリカの経済的安定性をアピールしています。
さらに、金は現物資産であり、地政学的なリスクが高まった際にも価値が落ちにくいため、安全資産としての役割が極めて大きいです。そのため、アメリカは政治的・経済的な「防衛手段」として金を持ち続けているという見方もできるでしょう。
アメリカの「金庫」にはどれだけの金があるのか?
アメリカの金は、主に**ニューヨーク連邦準備銀行(NY連銀)**に保管されています。
この金庫には、FRB(連邦準備制度理事会)や各国の中央銀行の金が保管されており、個人や民間企業は利用できません。
NY連銀の金庫の特徴
✔ 地下24m(海面下15m)の岩盤の中に設置
✔ 90トンの巨大な鉄製シリンダーで厳重に管理
✔ 世界最高レベルのセキュリティが施されている
これほどの厳重な管理がなされているのは、金が「最後の信用の砦」であることを示しています。
今後の金価格の動向と売却のタイミング
金は歴史的に安定した価値を持つ「安全資産」として知られており、株価の暴落や通貨危機など、経済が不安定になる局面では常に注目されてきました。ここ数年でその価値はさらに高まり、特に2024年には日本国内でもついに**「1gあたり1万円」**という過去最高レベルの価格に達しました。
このような金価格の高騰には、いくつかの背景があります。
まず1つ目は円安の進行です。日本円の価値が下がると、ドル建てで取引される金の価格が相対的に上昇します。特に輸入に依存する日本では、円安=物価上昇のリスクと捉えられやすく、多くの個人投資家が「資産防衛策」として金を購入する傾向が強まりました。
次に、地政学的リスクの高まりです。中東やウクライナなどの国際情勢が不安定化する中、安全資産への需要はますます高まりました。戦争や紛争、あるいは経済制裁といった影響は、通貨や株式よりも金に資金が流れる傾向を生み出します。
さらに、世界経済の不透明感も無視できません。インフレの進行、中央銀行による利上げ、株式市場の乱高下などにより、「現金や預金では資産が目減りしてしまうのでは?」という不安が高まり、実物資産である金に注目が集まっています。
ただし、金価格は永遠に上がり続けるわけではありません。例えば、急速な円高が進行した場合や、国際的なリスクが後退した場合には、一時的に金の価格が下がる可能性もあります。つまり、「いつ売るか?」のタイミングを見極めることが、金を保有している人にとって非常に重要になります。
現在のように、歴史的な高値を更新しているタイミングは、まさに売却に適した絶好のチャンスとも言えるでしょう。今後、金価格が調整局面に入る前に手放しておくことで、より高いリターンを得られる可能性があります。
金はサイズが小さくても高額で取引されるため、自宅に眠っているネックレスやブレスレット、インゴットなどを処分するだけでも、大きな臨時収入につながることがあります。
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